小室哲哉さん「介護バーンアウト状態の可能性」
賛否両論の小室哲哉“引退会見”を臨床心理士が分析「介護バーンアウト状態の可能性」
「僕なりの騒動のケジメとして、引退を決意しました」
音楽プロデューサーの小室哲哉が19日、音楽界からの引退を発表した。きっかけは先週報じられた看護師との不倫疑惑。小室は会見で「男女の関係はまったく考えてないです。ありません」と女性が精神的な支えだったことは認めたものの、不倫関係を否定した。
会見では2011年にくも膜下出血で倒れた妻・KEIKOの病状にも触れ「身体的な後遺症はなく、高次脳機能障害ですか。脳の障害ということで、残念ながら音楽に興味を持つということは日に日に減ってきて、ほぼ歌うことはなくなりました。それが今の現状です」と初めて詳細を明かした。
高次脳機能障害は記憶力や判断力などの機能が失われてしまう状態。小室は「僕から見る限り、女性から女の子(に変わった)みたいな…。会話のやり取りというのが日に日にできなくなってきて、ちょっと僕も疲れ始めてしまったところは3年前くらいからあったと思います」とも話した。
「左耳がほぼ今聴こえないです。エンターテインメント業界に僕の才能が必要なのか。もはやここまでかな」と自身も体の不調に悩んでいたことを明かしたが、その苦悩からか去年10月、自身のInstagramに「僕は引退しないのかな?定年はあるのに?家族って、何を指すのかな?愛ってなんだろう?少し疲れたかな?」とコメントを綴っている。
仕事と妻の介護を抱えてきた小室。会見の最後には「介護の大変さとか社会のこの時代のストレスとか、そういうことにこの10年で触れてきたのかなと思っているので、こういったことを発信することでこの日本も何かいい方向に、少しでも皆さんが幸せになる方向に動いてくれたらいいなと心から思っております」と訴えた。
臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は『けやきヒルズ』(AbemaTV)に出演し、自身の立場からこのニュースに言及。「いろんな思いが交錯する」と見解を述べる。
「まず『引退』と口にし、かつ1時間40分と長い時間心情を吐露した。いかに介護が積もり積もって爆発しそうになっていたのかということの表れじゃないかと思う。介護をされている方は、自分の中にストレスやモヤモヤ、この先どうなるんだろうという思いを抱えながら過ごしていく。それを外に出せずに、介護者としての自分と社会人としての自分と両立が難しくなってくることも当然ある。(小室さんは)引退という言葉でこれからは介護者として生きていくということと、1時間40分の中で今まで貯まったものを一気に放出するという作業をこの会見を通してやったのだと思う」
続けて、“小室哲哉”という人物像にも触れ「これまで『生産』『進歩』とクリエイティブな世界の中で生きてきた方。一方で、介護は現状維持だったり場合によっては停滞したり、機能が失われていくネガティブな経験をたくさんしなければならない。そういう意味では小室さんのような方には介護は向いていないとも言える。日常生活で介護の割合が大きくなればなるほど、それまでの生産、進歩とは違う生き方をしなくてはならなくなり、それがストレスフルになるところがあったのではないか」と推測。心理学の『バーンアウト』という状態を紹介し、「介護を頑張りすぎて物事への意欲や活力が失われた“介護バーンアウト”状態になっている可能性がある」と見解を述べた。
一方で、話の聞き手となったとされる看護師の対応を指摘。「プロとして対応してほしかった。相手の心が弱っている時に相談や治療行為を行うと、相手から好意を持たれやすいもの。看護師やカウンセラーなどは特にそういうことが起きやすいもの。だからそこは看護師の方が一線を引いて対応しなければならなかった」と苦言を呈した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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